ハーレム ブラッド
放課後


「幸大さん、遅いです。」

校門を出るなり咲子に言われる。

「あれ?

今日も駅前に行くのか?」

チャリ置場から行正がやって来た。

「ああ。

咲子の携帯を買いに。

親が駅前で待ってるってさ。」

幸大が言う。

「幸大の親が?」

行正が言う。

「はい。

私は両親が他界してるので幸大さんの御両親が身元保証人なんです。」


「なんかマズイこと聞いた?」

行正が言う。

「そうでもないですよ。」

咲子が言う。

「そうか。

じゃ、俺はチャリだから。

またな。」



行正が走り去る。






駅前


携帯ショップから咲子、幸大、父親が出てきた。

「しかし、スマートフォンとかじゃなくて良かったのかい?」

父親が言う。

「はい。

スマートフォンは電気代が高くつくので。」

咲子が言う。

「へぇ、知らんかった。」

幸大が言う。


「それに、

幸大さんと同じのが良かったですから。」

「…そうか。」

幸大が照れながら咲子から目線を逸らす。

「幸大!!

お父さんは寂しいぞ!!


二人だけの世界に入るとお父さん、寂しくて死んでしまうぞ!」


「もう用は済んだから帰りやがれ!」

幸大が言う。
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