シンクロニシティー
私の机の上には花瓶が置いてある。菊の花にでも見立てたのだろうか、薄い黄色の花が生けてあった。



「やだ、生きてた」

「男に刺されて死んだって聞いたけど?」

「アバズレ」

「大人しくていい子だったのにぃー。あんないい子が男遊び激しかったなんてー、信じられませーん」


ワイドショーのインタビュー的演出とか……。全然笑えない。でも皆はたまらなく面白かったみたい。クスクスクスクス、複数の笑い声が教室に溢れた。



自分の席まで行き、机横のフックに引っ掛けてある体育館シューズの袋を手に取った。


絞ってある口を左右に開けば、中には原形を留めない無残な姿のシューズが入っていた。


こっちもやられてたか……。ま、当然か。



あるだけマシと、カッターか何かでボロボロに切り刻まれたそれを袋の中から取り出し、足に嵌めてみた。



一斉に沸き起こった笑いに、教室内の空気が揺れた。


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