シンクロニシティー
***


六畳一間のアパート、敷いた布団に仰向けに寝転がって、男は携帯の画面を眺めていた。


「可愛い子ね」

不意に声を掛けられ、男は慌てて跳ね起きる。


キッチンに居たはずの妻が、いつの間にやらすぐ傍に正座して、携帯の画面を覗き込んだらしい。

ぼさっとしていて、男は全く気付かなかった。



「隠さなくてもいいじゃない」

妻はからかうように言って、くすりと笑う。


「けど……」

「その子でしょ? 何年か前にレイジが夢中になってた子」

妻は益々面白がって、くすくす笑い出す。



「お前、知ってたのかよ?」

「知らない訳ないじゃない。あの頃のレイジ、沢山の若い子と遊んでたけど、その中に本命が居るの、ちゃーんと知ってたわよ。見くびらないでよね?」

「そっか、バレてたか。けど安心しろ、俺フラれたから。そらもうバッサリだったわ」

言って、男は無理矢理に笑い飛ばす。


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