私は貴方に、叶わない恋をした。
金髪のオトコ








夏休みに美術室で、先生に抱き締めてもらったとき両想いだと思った。


学校にいるときは、先生が私のものだと思っていたのにー…




"キスやセックスはしない"


だったら…



「あゆ!昨日、何で帰ったの!?…って、目腫れてるんだけど」

「…っ真奈!?」


教室の自分の席に座り、そんなことを考えていると、登校したばかりの真奈が視界いっぱいに入った。


「泣いたの?」


「え…あ…いや…昨日、体調悪くて寝れなかったからかな?帰ったのは、そのせい…」

「だったら、一言ぐらい声掛けてから帰ってよね。美術準備室から戻ってきたと思ったら、鞄持って出てっちゃうんだもん」

「ごめん…」




先生からあんなことを言われた後、私は準備室を飛び出した。

零れ落ちる涙を止めれず、教室からも飛び出して家に帰った。





黙って帰ったから、担任でもある先生から連絡が来るかと思ったけど…







一度も、なかった。



もう…





終わりかもしれない。




…と、いうよりー…







「ねぇ、真奈」

「ん?」

「キスやセックスしない恋人って、いると思う?」


「は?」



唐突な質問に、真奈は目を見開いている。


「何それ…てか、セックスはまだしも…キスしない恋人同士なんか、ただの友達じゃん」


「とも…だち」


「あゆは、友達とキスしないでしょ?遊びではあるかもしれないけど…本気のキスは、恋人=彼氏だけ。それが恋人じゃん」


「…そっか…そうだよね」


「何?あゆの恋バナ?それで、昨日ー…」


「ちっ…違うよ!友達に相談されて…あ、私ちょっと職員室行かなきゃ。昨日のこと謝りに…」

「?いってらっしゃい」


真奈から逃げるように、教室から出た。
本当は、職員室なんか行く用事はない。


ましてや…先生と会いたくない。




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