色をなくした世界
「私ご飯買ってくるから、最後のお別れきちんとしなよ」




気を使い夕飯を買いに行く梓に「ありがとう」と告げ、雪乃は和哉と過ごした部屋を一部屋一部屋見て回った。



部屋と言っても3LDKだった為、そんなに部屋数はない。




ベッドルームには和哉と寝たベッドはなくなっている。


(ここでよく夜中まで話したな…ベッドにお菓子を持ち込んでは和君に子どもかって怒られたっけ…)



楽しかった日々を思い出す。



お風呂場に行けば一緒に入った事を…


トイレに行けばどちらが先に入るかで揉めた事を…



キッチンに行けば和哉の為に苦手な料理を覚えた事を…



使われていない部屋に行けばいつか子ども部屋にしようと話していた事を…



どこにいても和哉がいた。
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