色をなくした世界
最後に二人が一番よく過ごしたリビングに来れば…



まだそこにはソファーがいた。




他の物は全て引っ越すからと捨てたのに…和哉の匂いが残るソファーだけは捨てられなかった。




ソファーに寝っ転がれば、微かにまだ和哉の匂いがした。



このソファーで二人くっついてよく昼寝をしたなと思い出す。




雪乃が先に寝れば、和哉が寄ってきて…



和哉が先に寝れば、雪乃がくっついた。



いつまでも続くと思っていたあの時は…もう戻らない。



今日が最後だから…そう自分に言い聞かせ、雪乃は大声で和哉を呼び泣いた。



何度も何度も呼び泣き続ける内に、雪乃はいつの間にか眠りにおちた。
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