色をなくした世界
「忘れなくても良いと思う。でも・・・・一馬といたら前に進めなくなる。お互いが同じような傷を持っているから、居心地が良いのは当たり前。何も言わなくても分かってもらえるのは・・・当たり前」


だって同じ傷があるんだもん。



「でも私は・・・それじゃダメだと思う。同じ傷があるから私たちは分かり合える・・・それじゃ・・・ダメなんだよ」



そんなのを愛とは呼ばない・・・。それに気付いてしまった。



一馬も雪乃の言いたい事が痛い程伝わってくる。




「同じ痛みを経験し、同じ苦しみを持っている。私たちは似ていたよね?」



よく似ていた。だから・・・一馬を選ばない。・・・・選べない。



「一馬といると・・・いつまでも和君が付いてくるから・・・・」



雪乃は新しい一歩を踏み出そうてしていた。



和哉を思い出に代え・・・新しい人と歩く未来。



それを手に入れたかった。



「だから・・・ごめんなさい。一馬とは付き合えません」



雪乃は一馬の目を見てはっきり言い切った。
< 157 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop