色をなくした世界
雪乃が何で?と聞けば、梓は嬉しいような失礼なような事を言ってくれる。



「心配だったんだよ…雪乃ボケーッとしてるし、今までバイト以外した事ないし、世間知らずな所がいっぱいあるし…」



聴いている雪乃の顔は段々引きつっていく。



(思ってても言わなくて良くない…?)



聞かない方が幸せな事は世の中に溢れている。



「でも…雄大君の所なら安心じゃん?何かドジしても雄大君がカバーするだろうし、普通の会社より面白そう」



雄大の勤める場所は出版社。大きな所ではないが、旅行志や世界遺産などの雑誌を出しているため、色んな所に行ける可能性がある。



「それは思った!楽しそうだなって」



雄大からよく旅先の事を聞いていたのも大きい。


「羨ましいよー。それに比べて私はただのOL…」



本当つまらない。と呟く梓だったが、入社一年目でバリバリ発言し、企画を出していると同じ会社に入った友人から雪乃は聞いている。



< 19 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop