色をなくした世界
「あずは今のままで十分だと…思うよ?」



万が一出版社に来たら、リュックと水筒とカメラを持って秘境に行きかねない…というか梓なら絶対行くだろう。




和哉と雄大が幼なじみでお互いを誰より分かっていたように、雪乃と梓もまた幼なじみだった。




小さい頃から共に育った彼女の性分は、この二十年間で身を持って体験してきた。




雑で何を考えているのか分からず、男をとっかえひっかえする梓だったが…いつだって辛い時は雪乃の側にいてくれる。



それだけは昔と変わらないなと思うと、知らずと笑顔がもれる。



それを敏感に感じとり、梓はいつだって雪乃をからかう。



「にやけてる~。イヤらしい笑い」



そういう梓の顔も…いやらしいくらいニヤケていた。
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