色をなくした世界
あまり困った顔をしない雄大がかなり困っていた為、雪乃は知らずに傷つけたのかと思ってしまった。


雄大は雄大で雪乃を困らせてしまったと思ったのだが・・・。


「違うよ。ただ少し変わった奴で・・・なんて説明すれば良いのか分からなかっただけ」


そうなんだと明らかにホッとしたように、雪乃が笑顔になる。


「良かった。なんか雄大君が珍しく困った顔してたからさ。でも・・・雄大君に変わった人なんて言われるなんて・・・本当に変わった人なんだろうね?」


雪乃が知っている限り雄大は誰に対しても優しい。その雄大を困らせるとは・・・と思うと、会う前から少しだけ春日谷に興味がわく。


「でも少し会うのが楽しみになったな」


そう笑う雪乃に、雄大の手がとっさに動く。


「・・・・・楽しみ?」



雪乃が男と会うのを楽しみと言ったのは、和哉が死んで以来初めてだ。雪乃には何の含みはないと分かっていても・・・・心が痛む。


そして雄大にはもう一つ雪乃に告げておかなければいけない事があった。


変わった奴と言う前に・・・もっと大切な事を。


雄大が春日谷に帰ってきてほしくなかった一番の理由。


「雪ちゃん」


真剣に雪乃を呼ぶ雄大のまなざしに、雪乃は言葉をかける事が出来ず目だけで返事をする。
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