色をなくした世界
そんなに遠くに行っていないと思ったのに・・・・雪乃の姿はどこにもなかった。


悪い予感が胸をよぎる。


申し訳ないと思いながらも、雪乃の鞄から携帯を出し梓に連絡を取る。


梓はすぐに電話に出たが・・・雪乃はやはり家には帰っていなかった。


理由を話せば、梓も慌てて雄大の元へと合流した。


「雄大君・・・・雪は?」


いつもの強気な彼女はどこかに行ってしまったかのように、今の梓の顔は蒼白だった。


「分からない・・・・そんなに遠くには行っていないと思うんだけと・・・・・」


心当たりが全くない。


「どうしよう・・・・雪に何かあったら・・・・」


梓の心にも悪い事しか浮かんでこない。


「その男・・・・なんて事言うのよ・・・・」


梓達だって一馬と同じように、ずっと和哉を思い動かない雪乃に歯がゆい思いは感じていた・・・。


「だけど・・・・順序ってもんがあるでしょ・・・・」


いつか雪乃が前を向ける日まで梓も雄大も待とうと思っていたのだ。


雪乃は下を向き続ける子じゃない・・・・。


いつか・・・・思い出にできるはずだ・・・そう思っていたのに・・・・。
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