色をなくした世界
「でも聞いてほしいからつけてるんでしょ?誰にも触れられたくないなら、始めからつけなければ良い。それでもつけて来るのは、可哀想な私を見て・・・って事でしょう?」


言葉は凶器。


雪乃の心はこの男の一言でズタボロになった。


「違う・・・・。そんなんじゃない・・・」


雪乃の目に涙が溢れる。周りもこのままではヤバいと思い止めに入ろうとするが・・・青山に止められた。


「ねぇ。可哀想な宮田さん。旦那さんの思い出に浸って幸せだった?周りが腫物の様に接してくれて嬉しかった?自分はこの世界で一番不幸だと思ってた?泣けばいつだって誰かが助けてくれる・・・そう思ってるでしょ?」


一馬は一馬で雪乃が気に食わなかった。一馬から見れば、まるでこの世の不幸は全て自分の元にあると言う空気を雪乃は作っているように見えた。


「ほら泣いた・・・。いつまで周りに甘えているの?いつまで旦那さんに甘えていくの?」


最後の言葉を聞き終わる前に雪乃は部屋を飛び出した。



誰も動けなかった・・・・。


空気を悪くしてごめんなさいと告げると一馬も部屋から出て行った。



誰も話さない空気を破ったのはやはり雄大だった。


雪乃の鞄とコートを持つと急いで雪乃の後を追った。
< 51 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop