彼は、理想の tall man~first season~

「ありがとうございました」

とりあえずタクシーの運ちゃんにお礼を言って、タクシーを見送った私。


尚輝の声の低さったらそりゃなくて。

私はビクビクしながら、尚輝に振り返った。


「晃が、飲ませ過ぎたって電話寄越して来たけど、本当に飲み過ぎじゃねぇか?」


どこまでも律儀らしい晃は、タクシーに私を乗せた時、尚輝に連絡をしてくれたようだ。


「わざわざ下までお出迎え、すみませんねー」


尚輝にそう答えた私は、尚輝に思い切り溜め息を吐かれた。

まあ、呆れらても既に飲んでしまった訳で――今更どうにも言い訳出来ない私は、開き直るしかなかった。


尚輝に手を引かれ、マンションの中へと移動。

ふらつきながら歩く自分に、本当にこんなに酔ったのは久し振りだと実感。


だけど、

「今日敦さん来てんだぞ」

――と。


尚輝からのありえない言葉に、エレベーターが動いた瞬間、私は吐きそうな感覚に陥った。
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