彼は、理想の tall man~first season~
それは、今まで流されてしていたような恋愛は、もうするなと言われているようで。
きっと流されて晃と――ってなったって、晃は喜ぶ筈がないという風にも取れたんだ。
私だって、中途半端な気持ちで晃になびくなんてしたくない。
「人生ってのは、とことんタイミングだな」
バッカみてぇだな、俺ら――。
自嘲気味に笑い出した晃は、今日はとことん飲むぞ、と。
私にグラスを煽らせ、自分のグラスも煽った。
注ぎ注がれ。
それから恋愛話は抜きにして、2人で気付けばふた瓶を空け。
他愛もない会話をしながら、お店の閉店時間まで飲み込んだ。
普段外でそこまで飲まない私は席を立って外へ出ると、軽くふらついていた。
その私をタクシーに押し込んだ晃は、私にマンションの住所を言わせだけれど、誰かと携帯で話ていて。
タクシーの運ちゃんにお金を渡すと、じゃあまたなって、自分は別のタクシーを拾い、帰って行った。
帰る方向が真逆故の選択だと納得しながらタクシーに揺られ。
マンションに着き、どうにかお釣りを受け取り外へ出ると、
「なにやってんだよ」
と――尚輝が鬼の形相で立っていた。