彼は、理想の tall man~first season~

「何か別のに――」

「コーヒーもらっていい?」

言われてさっきの約束を思い出した。

頷いている私の横から、尚輝が「敦さん、今日飲まないの?」なんて聞いていて。

「後で軽く貰おうかな」

彼はそう爽やかに放った。


ホットでいいかな?なんて思いながら、キッチンに移動。

それから数分後、私は、敦君のコーヒーを彼のもとに運んだ。

ちゃっかり自分のコーヒーも淹れて、男の輪には入らず、ダイニングテーブルに席を取り煙草に火を点けた。

すると、敦君もコーヒー片手に此方へ移動して来て、「俺も吸っていいかな?」と言って、頷き返すと、敦君も煙草に火を点けた。


「美紗ちゃんは、今日は飲まないの?」

「昨日飲み過ぎちゃったから、今日はやめとき――やめとく」

軽く笑って、「そっか」なんて紫煙を上げながら色気たっぷりに言われて、ちょっと振りにした会話にドキドキした。

本来なら、こういうゆったりな時間が持てたハズなのに。


「やべー! そろそろ後半始まるじゃんかよ! 尚輝、酎ハイ持って来て」

「あいよー」

この2人がいたら、そうもいかない。
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