彼は、理想の tall man~first season~
車に乗っている時は、割と喋っていた彼女は、先程から自ら余り口を開かない。
そんな状況にもどうたもんかと思いながら、道を照らすオレンジ色の街灯を見渡した。
明るそうで、実は暗たい道。
会社帰りは、こんなにゆっくり歩くこともなかったから、気付かなかったが。
女性がひとりで歩くには、オレンジ色の灯りだけじゃ、心細いのではないかと思った。
「普段、行き帰りはどうしてるの?」
俺は気になって、彼女に即座に聞いていた。
「駅までですか?」
「うん。あ、これで減点4ね」
「え? あーっ!!」
彼女からは普段の凛とした雰囲気が消え。
悔しがっていた顔は、とても可愛らしく見えた。
俺の方が年が上ではあるが、付き合うのであれば、もっとフランクな関係でありたい。
それに、BARのマスターと電話で話していた彼女は、とても年上を相手に話している雰囲気ではなかった。
「ジャッジ、厳しいって言ったでしょ」
「うん、本当に厳しい」
少し頬を膨らませて、拗ねた雰囲気の彼女も、やっぱり可愛いもんだと思っていた俺は、なかなか彼女に重症みたいだ。