彼は、理想の tall man~first season~
「ウソ、ウソ、冗談」
「カズ!! おんめぇは、無駄口叩いてんなら給料下げるぞ」
「うわー勘弁して下さいよ」
「和君、ドンマイ」
「おい、美紗!! フォローしてくれよ、フォローを!!」
「マスター、冗談だってば」
「おめーら2人して本当調子いいよなぁ」
「えー? そんなこと――あるけど」
「おいそこは否定しろよ」
ここで3人、こんな風に話して笑っていると、なんだか本当に大学時代に逆戻りしたみたいで楽しい。
まあ、飲み屋だから、実際楽しいばっかりでもないんだけど。
この2人となら、一緒に働きたいとは思う。
だから転職もありかな――なんて、ちょっと浮気心が芽生えもしていたけど、マスターも本気で言った訳でもないから。
私はただ笑っていた。
その後「美紗」と――智子がやって来た。
そして、「尚君と中條さん来てるから」と。
「一緒に飲んでるからおいで」と。
智子は信じられないことを口にした。
「おお、そうじゃん!! 美紗にも彼氏が出来たんだな。いい男じゃん。尚輝の会社の上司なんだろ? 経済力もありそうな感じだし、良かったな」
「――っ、え?」