彼は、理想の tall man~first season~

尚輝の口調がどんどん弱まっていて、危機感みたいなのを感じた。


「美紗、誰かいねぇの? このままだと、マジで見合いするようかもだぞ?」

「お父さんに阻止してもらう」

「来週からフライトで、暫く日本から離れる・・・・・・その隙にってことも考えられるぞ」

「もー、なんでよ!!」

「俺に、当たるなよ」

「解ってるけどさ・・・・・・お見合いなんて絶対にイヤだもん」


喩え相手の条件が良かったとしても、それは私の基準の中での話じゃないじゃん。


「美紗はさ、恋愛する努力、したらどう?」

「努力して、出来るもんでもないでしょ」

「ま、そうなんだけどさ、」


――美紗は出来ないとしないの境目だろ、と。

尚輝はごもっともなことを言って、立ち上がった。


「ど、どこ行くの?」

「煙草」


それだけ言うと、尚輝は立ち上がってキッチンにある、換気扇の下に移動した。


はぁ・・・・・・どうしようかな。

一気に気持ちが重たくなって、疲れも甦って来た。


でも、なんで、お見合い?

そういうことを、そろそろ意識しろってこと?

もうすぐ25にはなるけど、早くない?
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