償いノ真夏─Lost Child─

その日、祖母とはろくな会話もしないまま、夜を迎えた。

祖母はどうやら、真郷を歓迎していないようだった。
真郷も真郷で、その方が楽だった。余計な干渉をされるよりも、遠ざけてくれた方が有難い。


「──父さん、真郷です。無事に長野に着いたよ。仕事忙しいと思うけど、無理しないでね。じゃあ、おやすみなさい」


父の留守電へメッセージを入れると、布団に潜る。

夏の虫達が障子の外で騒ぐのを聴きながら、真郷は深い眠りについた──…


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