償いノ真夏─Lost Child─
夏哉の帰りを待っていた小夜子は、なにか胸騒ぎを覚えた。
その予感は的中し、いつもより酔いが回った様子の父が玄関先で倒れていた。夏哉から、父には関わるなと強く言われていたが、さすがにこのまま放っておくことはできない。
小夜子はそろそろと父の元へと近寄った。いびきをかいていたので、眠っているのだろうと安堵しながらも声を掛ける。
「お父さん……」
肩をゆすってみても反応がないので、仕方なく引きずるように居間まで移動し、風邪をひかないように布団を掛けてやる。それだけすると、小夜子はそそくさと部屋に戻ろうとした。──ところが。
背中を向けたとたん、背後で衣擦れの音がした。
まさかと思い振り向こうとするが、それより先に、強い力で後ろに引き倒される。
「!」
硬い畳の上に仰向けで身体を打ち付けた小夜子は、強い衝撃と痛みに顔を歪ませた。
「さよこぉ……お前、元気そうじゃねえか……」
小夜子は目を剥いた。
父は眠ってなんかいなかったのだ。小夜子に馬乗りになり、彼女の動きを封じて笑っている。
「少し見ねえ間に女らしくなったもんだなぁ」
「や、やめてお父さん……」
身体が震える。小夜子の体には、この父から受けた無数の暴力の記憶が残っていのだ。
父親は急に無表情になると、小夜子の着ていたブラウスの胸元を引き裂いた。
「や……いやぁあ!」
羞恥と恐怖で父から逃れようと激しく身を捩る小夜子を、父は殴りつける。
「うるせえんだよ……どいつもこいつも……俺から逃げようとしやがって……」
「あ……あ……」
抵抗できなくなった小夜子の胸元を大きく広げた父が、乳房の形をなぞるように指を這わした。小夜子の白い谷間が大きく上下する。