償いノ真夏─Lost Child─
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自覚がなくとも、人は疲労を溜めていることが多い。
朝陽を浴びても、真郷は目を開けるのが億劫でならなかった。
「真郷坊っちゃん、朝食が冷めてしまいますよ」
障子の向こうから聞こえた声の主は、おそらく住み込み家政婦のフミ子だ。
「……はぁい」
真郷は甘えたような声で返事をすると、起き上がって伸びをした。
フミ子には、実の母より母親らしさを感じていた。
母は、母親ではない。
あれはただの女に過ぎない。
フミ子に心を許せるのは、彼女から雌の匂いを感じないからだろうか。