償いノ真夏─Lost Child─
*
ただ時間は、ゆっくり、そしてぼんやりと、確実に刻まれていく。
転校初日、朝霧小夜子と再会したものの、あれから二人の仲は進展していない。
真郷はちいさく息を吐いた。
朝霧は自分の存在を憶えていてくれた。それだけでも嬉しい。
だが、それ以上進むことが出来ない。
彼女は確信していない。
「俺が……思い出の男の子かどうか」
再び溜め息を吐きそうになって、押しとどめる。