償いノ真夏─Lost Child─





頬に暖かいものが触れて、目が覚める。


「ん……?」


はっきりしない視界に、白いものが見えた。

真郷は上半身を起こして、目を擦る。

しだいに意識が鮮明になって、そういえば犬がいるのだった、と思い出した。

どうやら顔を舐められていたらしい。


「……すごい回復力」


くるんとした尻尾を振りながら、真郷に擦り寄ってくる仔犬からは、昨日の衰弱ぶりが嘘のように感じられる。

膝の上に乗っている仔犬を抱き上げて、時計を見れば既に昼過ぎだった。

そこでようやく、今日が休日だと気付く。

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