償いノ真夏─Lost Child─
*
頬に暖かいものが触れて、目が覚める。
「ん……?」
はっきりしない視界に、白いものが見えた。
真郷は上半身を起こして、目を擦る。
しだいに意識が鮮明になって、そういえば犬がいるのだった、と思い出した。
どうやら顔を舐められていたらしい。
「……すごい回復力」
くるんとした尻尾を振りながら、真郷に擦り寄ってくる仔犬からは、昨日の衰弱ぶりが嘘のように感じられる。
膝の上に乗っている仔犬を抱き上げて、時計を見れば既に昼過ぎだった。
そこでようやく、今日が休日だと気付く。