償いノ真夏─Lost Child─


夕食を済ませ、真郷は父に電話をする。

もはや日課になった行動だが、なんとなく今回は緊張した。

何度目かのコールの後、父の声に切り替わる。


「──真郷、今日は早いな」

「ちょっとね。報告があってさ」

「報告?」

「うん。あのさ、今日犬拾ったんだ。たぶん柴の仔犬。東京戻る時、連れて帰って良い?」

「いいとも。ちょうど、番犬が欲しかったしな」

「はは、ありがとう」


これで、あの仔犬の居場所を作ってやれる。

電話を切ると、真郷は眠っている仔犬の頭を撫でた。
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