償いノ真夏─Lost Child─
「小夜子ちゃん、大丈夫?」
ポン、と肩に触れられ、金縛りが解ける。
辺りは既に静寂に包まれていた。
「うん、平気。なんか……暑さに当てられたかも。ね、そろそろ帰ろう」
「しょうがねぇなー、姉ちゃんは」
悪態を吐いているが、夏哉も小夜子が心配なようだ。
真郷も同意して、三人は神社を後にした。
鳥居を潜るとき、不意に小夜子は振り返って、舞台を見た。
小さな白い蛇がとぐろを巻いて、赤い瞳で小夜子を見ている。
そしてそれは、まばたきをすると消えていた──。