記憶×喪失

カレシっていったい誰ですか?

「…私、お医者様に貴方の意識が戻った事、報告してくるね」
たたた、と病室から出ていく緑。
普通、この状態だったら医者は付きっきりなんじゃないのかと思ったけれど、病室に入ってくる医者の表情を見てわかった。…この人、私が生き延びることを諦めていたみたい。目を見開いて驚きを表しているから。
ここは個室だし、医者の来るスピードからナースステーションが近いと予想した。私、すごく危なかったみたい。

その後、病室に私や緑と同じくらいの年の人たちが駆けこんできた。
「さやか、大丈夫!?」
ふわふわとした栗色の髪の毛を揺らし、私が寝ているベッドに近づいてくる女の子。私の友達だろうか。
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