いちばん。
運命の始まり

時計の針だけが沈黙を掻き消す。

わずかに香る消毒液のにおい。

俺は目の前でベッドに横たわる女の子の手を握りしめていた。

真っ白な肌、長い髪、うっすら赤い頬。

体は熱を帯びていて汗を大量にかいていた。

目を覚ますまで手を握っていたい…無意識にそう思っていた。

少し苦しそうな息をする度に胸が苦しくなった。

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