『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆
立ち上がるとマリー・ルイーゼの身体がふらつき、エルンストは肩を支える。


「大丈夫か?」


「はい……本当に申し訳ありませんでした どのような処分でも受けますので、今日は失礼させていただいてもよろしいでしょうか?」


「あの男は許せないが、今回は俺だけしか知らない 不問にしておこう ただし、売春あっせんの組織は後程詳しく教えて欲しい」


彼女は俺の言ったことに動揺したようだ。


瞳を小刻みに動かし、両手を体の前でグッと握っている。


「わ、わかりました ありがとうございます」


深くお辞儀をするマリー・ルイーゼの目から再び涙が光る。


「も、もう行きます 本当にすみませんでした お城を冒とくした気分です……」


エルンストは動かずこのまま彼女を見送ろうとした。


歩き出す彼女の動きがおかしいことに気づく。


ぴょこぴょこと身体を大きく揺らして歩いているのだ。


その原因はすぐにわかった。


エルンストの足元の近くに黒いヒールが落ちていたから。


片方の靴を履いていない事にも気づかないのか?


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