わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 悠斗さまは珍しくご満悦。
 けれど、こういう時の田所は、何を言っても聞いてくれないから、逆にとんでもなく厄介なのだ。

 しぶしぶ田所に従う。
 だって、歯向かったところで、無駄だから。
 猛反撃を受けるに決まっている。


 私がトイレから出ると、数m先の木陰に田所が立っていた。
 いつもの不機嫌顔だ。
 随分待たせてしまったのかな。

 慌てて駆け寄ると、

「てめぇ、誰がおっきい方まで出して来いっつったよ?」

 冷ややかに見下ろして、腹立たしげにそう言った。
 本当に待たされるのが嫌いなんだから、田所は。


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