わたしとあなたのありのまま ‥2‥
隣の田所を見上げれば、素知らぬ顔。
正面向いたまま、「行くぞ」と私の手を引いて歩き出す。
そして、彼女たちにまるで見せ付けるかのように、私の指に田所のそれを絡めた。
恋人繋ぎなんか、一度もしてくれたことないのに。
そんな、さりげなく優しいところも大好きだ。
そして私は、こんな時すかさずフォローしてくれる田所に、いつも救われている。
「田所、手ぇ洗った?」
私も気にしない、気にしたら駄目だ。
いつも通りにしていなきゃ。
「洗ってない」
田所は悪戯っぽく笑ってようやく私に視線を寄越す。
嘘つき。
ちゃんと洗ったくせに。
だって、田所の手はひんやりと湿っている。