わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「うん、わかった。
 わかったから、また今度にしてくれる?
 今日は帰ってよ」

 せなくんは、冬以にも優しい。
 だから、せなくんに対しても無性に腹が立った。

 何が『わかった』だよ? と大声で叫んでやりたい。

 せなくんに何がわかるの?


 冬以は納得したようにコクリと力なく頷くと、ゆっくりと私たちに背を向け歩き出した。

 遠ざかる冬以の後ろ姿を、見えなくなるまで呆然と眺めていた。


「大丈夫?」

 不意に声を掛けられ見上げれば、せなくんの心配そうな顔。
 それによって、私はようやくせなくんの存在を思い出した。


 せなくんも、田所とタイプは全く違うけれど、奇麗な顔をしている。
 くっきり二重のクルンとした目は、ほんの少し幼く見える。


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