わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 いつだったか。
 田所も泣いている私を抱き締めてくれたことがあった。

 その時、私が「鼻水つくよ」って言ったら、「ほのかの分泌物なら平気」とすぐに返ってきた。
 考える間もなく発せられた田所の言葉が、凄く凄く嬉しくて。

 田所のたった一言で、舞い上がりそうなぐらい幸せな気持ちになった。


「た、どこ、ろぉー」

 呼んだところで届くはずもなく。
 ただ虚しくせなくんの胸に吸い込まれてゆく。


 こうしてせなくんが、私なんかに優しくしてくれるのは、他でもない田所のためで。
 友達に大切に想われている田所が、やっぱり私は大好きで。


 届かなくても、虚しくても。
 せなくんにとってもの凄く迷惑だとわかっていても。

 咽び泣きながら、せなくんの腕の中で、




 何度も何度も田所の名を呼んだ。




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