わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「ほのか」

 頭の上から呼ぶ声がし、しゃがんだまま振り返るようにして見上げれば、棒立ちの田所が酷く呆れた顔をして見下ろしていた。


「ほのかが嫌なら……
 俺、そういうことしないし」

 言って、トスンッと腰を落として私の目の前にしゃがんだ。
 さらに上体も倒してほんの少しだけ前のめりになるから、田所の目線の高さが私のそれと同じになった。


「だから、照哉たちの邪魔はすんな。
 ほのかの気持ちは良くわかったから」

 田所は、そう言ってふわりと笑顔を見せる。

 なんだよ、急に。
 優しいこと言っちゃったりして。


 なんか、
 私が悪いみたいじゃない。


< 22 / 363 >

この作品をシェア

pagetop