わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 揺さぶられながらも両手を伸ばせば、涙が目の端から零れた。
 田所はそれを受けとると、両方共に指を絡めて私の頭を挟むようにシーツに押し付けた。

 そうしたことで、少し上体が傾き、田所の顔が再び間近に来た。


「ほのか……
 お前を誰にも渡したくない」

 苦しそうに顔を歪めて言う。

「渡さなくていいよ。
 私はどこへも行かない。
 それに、誰も私なんか……」

「『俺の大切な物』っつったら、
 ほのかしか思い浮かばない」

 田所のその言葉は、とても嬉しくて、だから余計に切なくて。

「大好きだよ、田所」

 言いながら田所に抱きついて、まるで子どものように声を上げて泣いた。




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