トランキライザー

「なんでおまえはそんなに普通なんだ。おかしいだろ」

 段々と声が荒がる。

「け、圭斗」

 通り過ぎる人たちが、俺の方を見ていた。

「・・・ちっ、来いよ」

 そう言ってつぐみの手首を掴み、路地裏に向かった。

「何?圭斗っ。痛い」

 何一つ聞いてやらない。もう我慢の限界だ。冷静になんて、考えられない。

「圭斗っ」

 路地裏に入り、握っていた手首をそっと離した。

「ど、どうしたの?」
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