トランキライザー

 敦志に言われたことを俺は冷静に脳内に入れていった。

 言われたことは最もなのかもしれない。

 確かに合鍵は渡したままだった。そんなこと忘れていた。

「何なんだろうな。俺は女心なんて分からないけどさ、つぐみちゃん、おまえに捨てられてちょっと目が覚めたんじゃね?今まで甘やかしすぎたんだって。大体圭斗って根本的に言葉足りない時あるしな」

「そうか?」

「うん。どうでもいい奴には猫被るからかわかりやすいんだけどな」

 はははっと笑う敦志を見て、俺はグラスを置いた。
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