トランキライザー

 翌朝、目が覚めると仕事に行く時間ぎりぎりだった。顔を洗ったあと、寝室を覗くと敦志はまだ寝ているようだったから、鍵を閉めポストに鍵を入れノアーツに向かった。

 早足で進みながら、斜め掛けのバックを掛け直す。たいして荷物は入ってないから軽い。

「おはよっ、圭斗」

 信号待ちをしていると、背後から声をかけられた。

「ん?あっ、理沙ちゃんおはよう」

 覗き込むように、じっと顔を見てきた。

「どうしたの?なんか目の下クマできてるけど」

「あぁ、ちょっと寝れなくてさ」

 そんなに目立つのだろうか。顔を洗ったときは気にならなかったけど。
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