甘く、甘い、二人の時間


「――」


「返事は?」


私の顔を覗き込みながら、拓海が囁く。






だって、不意打ち過ぎる。

ずるいよこんなの。



答えなんて、ひとつしかないじゃない。







「お…お願いします。」


頑張って絞り出した声は、どもる、小さい、で散々だった。



だけど拓海は、私の返事を聞いて嬉しそうに笑った。

「よかった」

って。









「あんなに怒った菫、初めて見たからマジで焦った。慌てて指輪を取りにマンションに帰ってさ――」



拓海は照れ臭いのか、お互いの顔が見えない様に私をぎゅうっと抱きしめながら教えてくれた。



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