誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
『おい、何ボサッとしてんだ。お前も早く入れよ。』
「ぁ、は、はいっ!」
浅井先生にギロッと睨まれて、慌てて私もCT室に入った。
「よろしくね、秀人くん。」
『うん!ぼく、がんばるからね!』
「ふふっ…頑張ってね、」
秀人くんも頑張るって言ってるんだから、私も頑張らないと…っ
って、私は秀人くんの手を握るだけだけど。
プツっ
『心の準備はできたか?坊主。』
突然、CT室にマイク越しに浅井先生の声が届く。
『うん!』
『よし、じゃぁ、その台に仰向けに乗っかってくれ。』
言われたとおりに秀人くんは仰向けに寝る。
その顔には緊張が走っている。
『これから検査をするぞ。坊主、今からお前が乗っている台が動く。何も怖くはない。だが、ただ一つ、坊主に守ってほしいことがある。身体を動かさないでくれ。少しでも動いたら検査が出来なくなる。いいな?』
『うんっ』
『よし、始めるぞ。』
その言葉を合図に秀人くんから差し出された手。
その手を握って、頑張れと心の中で呟いた。
ゆっくりと動き出すCT。
こうして、秀人くんのCTは無事に終わったのだった。