《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
(よ、よりにもよって
こんな人だなんて……!)



失敗の動揺に緊張が加わって、
背中を変な汗が伝い始める。



絶句したままのあたしを
見て、男の人はますます
眉をひそめて首をかしげた。



「オイ……?」



「あ、えっと――…っ!」



我ながら情けない。


仕事なんだから、ちゃんと
謝らなきゃいけないシーン
なのに。



「……ああ、弁当のデリバリー?

そういえばもう昼か」



ちょっと高めなよく通る
声で男の人が言ったおかげで、
あたしはようやく言葉を
発することができた。


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