夏の空~彼の背中を追い掛けて~
俊ちゃんちに行く時は周りを見る余裕が全く無かったけど、今回は景色を見る事が出来た。
前方には大きな山が広がり、右を見ても左を見ても田んぼだらけ。
似た様な景色ばかりで、私には何処を走っているのかは分からない。
やがて、バイクは県道へと出る。
「孝道ちゃん、遅い!先に行くよ?」
小柄な子がそう声を掛けると、ガッチリ系の人と一緒にグングン離れて行く。
孝道君はあの2人を追い掛けるのかな?
思わず腕に力が入る。
だけど、孝道君がスピードを上げる気配はない。
それどころか、周りの景色を楽しむ様にスピードが落ちる。
もしかして、私が乗ってるから安全運転してくれてるの?
今日会ったばかりだけど、孝道君って気配り上手で優しい人なんだね。
坂を下り始めると、1軒また1軒と家が増え始め、小さなお店屋さんが目に止まる。
そこには俊ちゃんのバイクと私達を追い越した2台のスクーター、そして紀香の姿があった。