もらう愛=捧げる愛
「初音…っ…!」


友莉はあたしの体を抱き締めて泣く。


「怖かったよね?怖かったよね…」


「友莉…」


泣いてくれる友莉に、あたしは少しだけ救われたような気がした。


今までの再三の友莉の忠告に従わずに罰の受けた仕方のないあたしに、涙をくれる大切な友達。


目頭が熱くなって、あたしも涙を流した。


「ごめんね、友莉にこんな話…」


「何言ってんの!あたしなんだから言ってよっ。ねぇ、それってDVでしょ?警察に話すとか、手段あるでしょ?」


「ううん…。全部あたしのせいだし…。警察に話すとか無理だよ。ここで働けなくなっちゃう…」


それだけは嫌だった。


他の人を巻き込んで話は大きくなるだけ、何よりハルくんの耳にあたしと他の男の人との関係を知られたくはなかった。


きっとこんな汚いあたしをみんな軽蔑する。


ハルくんに“汚い女”そう思うのは耐えられない。


ハルくんに。


ハルくんにだけは…。
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