もらう愛=捧げる愛
「………」


朝の4時。


部屋へ帰ったあたしは皮膚が痛む程体中洗って、ベッドに潜り込む。


眠れないままの耳につく、時計の秒針の音。


その音すら多田さんの声と重なって、あたしは強く耳を塞いだ。


お願い、聞こえて。


「初音さん」


甘く響くハルくんの声を聞かせて。


「初音さん?」


…あぁ。


そう、この声。


欲しいのは、ハルくんの声。


ハルくん…。


あたし、汚いよ…。


生理がくればキレイになる体なんて、嘘。


あたしの体は多田さんと重なる度、汚れてく。


汚い。


汚い…!


どうすればふりきれるの?


どうすれば過去を消せるの?
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