もらう愛=捧げる愛
「ホラ、鏡の前で足開けよ?」


───助けて


「…はい」


「声出せよッ」


───助けて


「…ア………!」


「初音ッ!!」


───助けて…!


果てても果てても多田さんは一晩中あたしの体を使う。


苦痛で歪むあたしの顔を見ては、満足気に笑って。


「愛してるよ、初音」


その言葉とは裏腹な憎悪。


朝方近くまでその行為は続き、ボロ雑巾のようにくたばったあたしを多田さんはアパートまで送って、やっと長い夜が終わる。
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