愛する人。
「教会の下見に来ていたときです。
観光も兼ねて付近を散策していたら、ここからほど近い場所に温泉があって……。私たち、行ってみたんです。……その旅館に」
確かに、近くの温泉は有名で、式に呼ばれた人の中でも今晩そこに泊まるようなことを言ってた気がする。
海斗達も一泊して行くって言ってたよな、確か。
「その旅館に―――」
「麻由美!」
海斗が彼女の言葉を遮るように呼んだ。
その声に彼女はビクリと体をはねらせると、恐る恐る振り返る。
海斗は笑顔で近付いてくると、彼女の耳元で何かを囁いた。
「―――だから、ね」
「……海斗さん…っ」
何かを言われたらしい麻由美さんは、顔を真っ青にしてプルプル震えだした。
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