愛する人。
* 17 *
「本当に良かったわ」
女将さんが涙を浮かべて喜んでくれる。
「……女将さんのおかげです。
本当にありがとうございました」
深々と頭を下げる私を、女将さんは優しく抱き締めてくれた。
「幸せになりなさい。
あなたが幸せじゃないと、緋桜くんは幸せになれないわ」
「はい」
女将さんの言葉が心に響く。
あの時女将さんがいなかったら、緋桜は産まれなかったかもしれない。
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