亡國の孤城 『心の色』(外伝)
緑の童歌...(バレン=ラドルフ)







―――。












―――植えた種は 日を求め




―――腕(かいな)を伸ばし

日溜見上げて






―――もっと欲しいと 童の様に







―――高く 高く 枝を伸ばす





―――それでも届かぬ 届く筈もなく






―――夢中で ただただ 背を伸ばす








あれが欲しい



あれが欲しい







どうしても 天が欲しい











永遠に 永遠に




僕らの樹木は 伸び続ける




僕らが死んでも また生まれても


あの子はずっと 天を望むのか









届かぬ腕から木の葉を飛ばす



飽きる事なく




木の葉を飛ばし続ける





もっと高く 高く 飛んで行け


飛んで行け




風を騙して 空を騙して



この手の代わりに 天に昇っておくれ













空に一枚 頼りの木の葉




映える木の葉は 自由気まま




言う事聞かず 空の彼方へ




飛んでる間だけが 本当の自由




干涸びる前に 色褪せてしまう前に






この色を空に 天に さらけ出そうか








僕はここにいる




僕は自由




何にも騙されない 縛られない










自由な僕














地に落ちるまでは














―――僕は 自由 ………





………



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