亡國の孤城 『心の色』(外伝)
笑い合った、あの頃と同じ様に。
「…………大好きだ。…………………皆、皆……過去も、今も引っ括めて………………」
青く変色した乾いた唇からは……弱々しい、掠れた声しか出ない。
冷たい大理石に、動かぬ身体を押し付けて、溢れる涙を擦りつけて。
………静かに自分を見下す、男の視線を感じながら。
薄れゆく意識の中で、バレンは口ずさんだ。
心臓の音が、聞こえるんだ。
………だんだんと遅くなっていく、そろそろ止まってしまうオルゴールの様に。
儚い、音色を奏でている。