誠姫

涙のタイムスリップ




「何この子。死んだの?」



「馬鹿言え。息してんだろ」



「でも全然目覚まさないよ?」



「寝てるだけだ」



そんな会話が途切れ途切れに聞こえる。



それは、まだ姫芽の脳が完全に起きていないことを示しており、誰の声なのかも全く分からない。



だが、完全に目が覚めるのに、そう時間は掛からなかった。



寝ぼけた頭が重い体へ「起きなきゃ」と伝達をよこす。



瞬間、昨夜の出来事が一気に再生されるように思い出した。



なんの躊躇いもなく勢いよく体を起こす。




だが、全身で違和感を感じた。



自分の立ち位置がいつものふかふかの天蓋付きベッドの上ではない時点で混乱が走る。




朝一の紅茶は?



悠の低く落ち着いた「おはようございます」は?



何度も辺りを見回すが、ほんの一寸も自分の情況に理解することが出来なかった。



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