誠姫




「お忘れですか?今日はお嬢様のお誕生日ですよ。全校生徒でのパーティーですので、少し早起きして準備致しましょう」




その言葉に姫芽は「そうだったわ!!」と飛び起きた。




東京都の4分の1のエリアを占める『聖マリアナ女子学園』は幼稚舎から大学院まで、全て西園寺財閥が経営している超お嬢様学校。


そんな西園寺家の一人娘、姫芽は勿論この学園に通うお嬢様。



毎年の如く、全校生徒での誕生日パーティーが開催される4月24日。



いつもは低血圧で目覚めの悪い姫芽が、瞬時に起き上がる一年間で唯一の日だ。



悠の入れた紅茶を一口すする。



体とのあまりの温度差に、喉を通るのが分かった。



「すぐに最高のドレスを!」



それだけ言い残すと、朝寝坊したわけでもないのに、大きな重い扉を押して慌てて部屋を出た。



「やれやれ」



悠は静かに微笑むと、後に続いた。



それからが忙しかった。



綺麗なドレスを身に纏った姫芽の我が儘タイムといったとこだろうか。



やっぱりあっちのドレスが良かっただの、アクセサリーはどれにするだの、思う存分悠を振り回した。



「お嬢様、とてもお似合いですよ。綺麗です。これ以上は誰も求めません」



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